コーヒーは健康に良いのか?

仕事や気分転換したいときなど、私たちの日々のシーンの傍に欠かせない物の一つにコーヒーがあります。いまではコンビニに行けば、美味しいコーヒーが100円程度で簡単に飲むことができる恵まれた時代になりました。私自身もコーヒーは生活に欠かせないアイテムの一つです。毎朝、お気に入りのロースターから購入したコーヒー豆をミルで挽き、手落としでドリップしてゆっくりと味わう、この瞬間がたまらなく好きで、またコーヒーを飲むことで1日のスイッチが入る、そんな感覚になります。

さて、コーヒーと健康については長年さまざまなことが言われています。なんとなく健康に良いと言われていることは知っている方も多いと思います。今回はタイトルの通り、コーヒーは健康に良いのか否か、について近年の研究結果も見ていきながら、今一度整理をしていきたいと思います。

コーヒーの健康の観点から見た位置付け

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介著、東洋経済新報社)より

コーヒーを健康の観点から見た場合の位置付けは上の図の通りです。現状、コーヒーに関しては健康に良いという可能性の示唆が少数の研究で明らかになっています。ただ、上の図のグループ1の食品と比較すると、コーヒーは健康に良い、という確証できるエビデンスは少なく、未だ研究途上の段階と言えます。

コーヒーに含まれる特徴的な成分

コーヒーが心身に与える影響について説明する前に、上の図でコーヒーに含まれる特徴的な成分についてまとめました。

コーヒーと身体への影響

ここからはコーヒー摂取による心身への影響について複数の研究結果からみていきたいと思います。まずは身体への影響からです。

2017年BMJ誌に掲載された英国サウサンプトン大学のRobin Poole氏らによる67の健康転帰に関する観察研究のメタ解析201件、9の健康転帰に関する介入研究のメタ解析17件を同定した検討によると、コーヒーをまったく飲まない集団に比べ、1日3〜4杯飲用する集団は全死因死亡リスクが17%低下心血管死リスクが19%低下心血管疾患リスクが15%低下することが認められました。また、飲用量の多い集団は少ない集団に比べ、がん発症リスクが18%低下することがわかっています。

日本においてもコーヒーと身体への影響に関する研究が行われています。2015年The American journal of clinical nutrition誌に掲載されたJPHC Studyによる、わが国における前向き大規模コホート研究にて、がん、脳血管疾患、虚血性心疾患の既往のない40〜69歳の日本人9万914人について、コーヒー摂取量と主因死亡別死亡(全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷、その他)との関連を平均18.7年追跡調査しました。その結果、全死亡リスクはコーヒーを全く飲用しない人と比べ、1日1杯未満で9%低下、1〜2杯で15%低下、3〜4杯で24%低下、5杯以上で15%低下することがわかりました。また、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクと逆相関(リスクを下げるということ)を示していました。

コーヒーとメンタルへの影響

つづいて、コーヒー摂取によるメンタルへの影響についてもみていきたいと思います。

最初に認知症への影響をみていきます。2021年Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版に掲載された新潟大学Nana Matsushita氏らの40〜74歳の日本の地域住民1万3,757人に8年間フォローアップを行ったコホート研究によると、認知症リスクがコーヒーの消費量が0杯の人と比べ、1日2〜2.9杯の人で 31%低下、3杯以上で47%低下したことがわかっています。

次に、うつ病への影響についてです。2018年European journal of clinical nutrition誌オンライン版に掲載された韓国慶煕大学校のDami Kang氏らによる、アルコール以外の飲料摂取とうつ病リスクについての観察研究のシステマティックレビューおよびメタ解析によると、うつ病リスクはコーヒーで27%低下、紅茶で29%低下し、ソフトドリンクでは36%上昇することがわかりました。また、2014年Plos one誌オンライン版に掲載された米国Westat社のXuguang Guo氏らの同様の研究によると、コーヒー(無糖)を飲んでいた人ではうつ病のリスクが9%低下していたという可能性が示唆されています。

その他の影響

その他の影響としては、2021年スペイングラナダ大学の調査によると、時間帯関係なく運動30分前のカフェイン摂取(とりわけ午後の方が良い)で脂肪燃焼効果が高まる、といった報告やネスレ日本の報告では、コーヒー、ポリフェノール摂取量が多い人ほど、顔のシミが少ないこと(コーヒーは日焼けによる皮膚老化防止に役立ち、ポリフェノールには色素過剰を減じる可能性がある)が明らかになっています。

コーヒーは1日何杯までなら健康に良いのか?

ここまで、複数の研究結果からコーヒーの心身の影響について説明をしてきました。では、1日何杯までが健康に良いのか、その適正量についてですが、これについても複数の研究結果から説明していきます。2019年Preventive Medicine誌オンライン版に掲載された国立がん研究センターによる日本の8つのコホート研究のプール解析によると、コーヒーを1日5杯未満の摂取で全死因死亡や主な死因による死因リスクが低下する可能性が示唆され、5杯以上ではこれらの関連が減弱したことがわかっています。また、先述のJPHC Studyによる研究でも5杯以上では3〜4杯のときと比べて効果が減弱していることがわかります。

また、コーヒーの摂取のし過ぎはメンタルに悪影響である、というデータもあります。2021年Nutritional Neuro Science誌オンライン版に掲載された南オーストラリア大学Kitty Pham氏らの習慣的コーヒー摂取が脳容積の違いや認知症および脳卒中の発症への関連を調べた検討によると、1日6杯以上の摂取は1日1〜2杯と比較し、認知症リスクが53%高く、また脳容積の低下が認められたことがわかっています。また、2017年Scientific reports誌に掲載されたカナダのダルハウジー大学 Zhijie M.Yu氏らの研究によると、コーヒー非消費者と比較し、コーヒーを1日4杯以上消費した女性はうつ病リスクが38%上昇することがわかりました。

これらの研究結果から健康に良いコーヒー摂取量は1日4杯までと考えられます。

その他コーヒー摂取にあたって気をつけるべきこと

そのほか、コーヒーを摂取するにあたって気をつけるべきことがあります。まず、カフェインの半減期についてです。カフェインを摂取し、その効果が半分になる時間のことですが、これは人それぞれで、代謝速度に影響するものなので個人差があります。平均的には6時間と言われています。とりわけ高齢者など代謝が低下している方にとっては影響が大きいです。また、妊婦の方、骨折リスクの高い女性にはリスクとされている研究もあります。先述の英国サウサンプトン大の研究によると、コーヒーを高飲用量の妊婦は低飲用量、非飲用の妊婦に比べ、低出生体重児の頻度が31%増加、妊娠第1期の早産が22%増加、妊娠第2期の早産が12%増加、妊娠損失が46%増加すること、また女性でのコーヒー飲用と骨折リスクが認められたことがわかっています。

さいごに

はじめに書いたように、コーヒーとその健康に関する研究は未だ研究途上にあります。しかし、現状の研究から飲用量を適切に守ることで心身に良い影響をもたらす可能性があるということもわかっています。コーヒーはわたしたちが生活している中で欠かせない一つのアイテムと言っても過言ではないほど、わたしたちにとって身近なものになっています。今一度その影響について確認することでコーヒーとの付き合い方、見方が変わるのではないでしょうか。

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