運動がメンタル改善に有効な理由

運動が心身にとって良い影響をもたらすことは長年の研究、そして経験から分かって久しいことは言うまでもないと思います。今回はその中でも運動がメンタル改善に対して有効な理由についてお話ししていきたいと思います。

幸福ホルモンが”ととのう”

運動がメンタルに良い理由としては、まず「幸福ホルモンがととのう」ということが挙げられると思います。幸福ホルモンについては以前にも当サイトの『登山』は幸福になるためのソリューション!?でご説明したのでよければそちらもご参照いただければ幸いですが、私たちの日常的な幸福感を司る幸福物質としてとりわけ重要なのが、「セロトニン」、「オキシトシン」、「ドーパミン」です。運動によって、これらの幸福物質が分泌され、整います。

具体的に、「セロトニン」は覚醒・気分・意欲に関するホルモンで、セロトニンが低下すると、うつ病のリスクが高まります。セロトニンは主に「光を浴びる」「リズム運動」などで活性化します。つまり日中光を浴びながら外を軽く散歩するだけでも十分です。また朝に光を浴びながら散歩することで体内リズムのリセット、整うことにもつながります。

「ドーパミン」は意欲や集中力に関するホルモンです。私たちの日々のモチベーションにも関与します。みなさんも運動した後に爽快感、達成感に包まれた経験はないでしょうか?まさにそれはドーパミンの効果です。運動をすることで楽しいと思えたり、達成感、次へのモチベーションにつながります。

「オキシトシン」はつながりや癒しのホルモンです。これは他者との交流によって分泌されるホルモンです。リラックス効果(血圧や脈拍降下にもつながる)、不安の軽減、免疫力や細胞修復に寄与します。例えば、友人などと一緒にご飯を食べたり、会話の中でリラックスした経験はみなさんもあるかと思います。これはオキシトシンの効果です。一人で黙々と運動をするのも良いですが、時には友人やガールフレンドなどと運動をすることもまたとても良いことです。また、オキシトシンは「感謝」することでも分泌されます。積極的に「ありがとう」と伝えることで人間関係にも良い影響があります。

運動によって幸福ホルモンが”ととのう”ことで、毎日を幸せに過ごすことができます。

ストレスホルモンを正常化させる

運動はストレスホルモン(コルチゾール)を正常化させることにも寄与します。コルチゾールは健康な人においても毎日分泌されます。コルチゾールは一般的には明け方に分泌のピークを迎えて、午後に近づくにつれて減少し、睡眠の前半においてはほとんど分泌しません。コルチゾールは私たちの身体を元気にし、活動を後押しする物質です。一方でコルチゾールは「つらい」、「苦しい」といったストレスのかかる場面でも分泌されます。ストレスのかかる環境下でストレスのかかる状態が継続すると、夜間睡眠を妨げたり、記憶力、意欲などの低下につながり、うつ病のリスクも高めます。これらの現象は逆の視点から見ると、私たちの心身が防衛反応を示していることに他なりません。私たちの心身は嫌なことを忘れさせ、自分にとって有害な環境に身を置かないように意欲を削ぎ、目の前の行動をやめさせようとしているのです。記憶力の低下に関しては実際に血中コルチゾール濃度の高い人は記憶力が低下し、脳の容積も低下していることが研究によって明らかになっています。

運動はコルチゾールを正常化させることがわかっています。具体的には30分の有酸素運動でコルチゾールが正常化します。また、運動はストレスへの耐性を強めます。

筋トレで男性ホルモンであるテストステロンがUP!

ここまでは有酸素運動のお話をしてきましたが、筋トレもメンタルに良い影響を与えます。具体的にはテストステロンがUPし、行動的になる、対人関係に前向きになる、自分に自信がつき自己肯定感がUPする、といった効果があります。テストステロンは男性で20代をピークに徐々に低下していきます。テストステロンが低下することで抑うつ症状や易疲労感にもつながり、加齢男性性線機能低下症候群(late onset hypogonadism:LOH症候群)、俗に言う男性更年期障害につながります。

運動はうつ病の予防に効果的

運動はうつ病における予防効果にも寄与します。うつ病に対する運動の効果は抗うつ薬と同程度、再発予防効果においては抗うつ薬を上回る、ことが分かっています。2022年「JAMA Psychiatry」に掲載された英国ケンブリッジ大学のSoren Brage、James Woodcock氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果によると、身体活動を行なっていない人に比べ、推奨量の半分の身体活動を行なっている人のうつのリスクは18%低下、推奨量を満たしている人のうつのリスクは25%低下したことが分かりました。またこの結果に基づいて、身体活動量の低い人が推奨される身体活動量を満たしたと仮定すると、うつ病の11.5%を予防可能、という推計結果が得られました。2012年の英国のChristopher Bridle氏らの高齢者の抑うつ症状に対する運動療法の効果の研究によると、運動によって高齢者うつ病患者のうつ病重症度が34%低下することが分かりました。また、少し趣が変わりますが、2022年の韓国ソウル大学の研究によると、旅行を1年しなかった高齢者は旅行をした高齢者と比べて、翌年のうつ病リスクが71%上昇したということが分かりました。その他には、うつ病の罹患がアルツハイマー型認知症のリスクを2倍にすることもわかっています。このように、運動、アクティブに活動する、ということはメンタル疾患予防において重要なことが分かります。

どのくらい運動をしたら良いのか?〜キーワードは「できる範囲で、できるだけ」

では、さいごに私たちはどのくらい運動をしたら良いのか、についてですが、ずばり、「できる範囲で、できるだけ」です。自分のその時の体力・気力と相談しその時々で、できる範囲で行うことが重要です。大事なのは「継続」できることです。何事も「楽しい」が先に来なくては続きません。楽しければドーパミンが出ます。それによってまたやろう、と思えるのです。しかし辛さや苦しさが先に来れば逆にストレスホルモンが出ます。ストレスホルモンは、逆にその行動をやめさせようとしますから、結果的に長続きしません。気が向かない時なんかはたまに休んだっていいのです。その時々の自分の心身の状態と相談して、「できる範囲で、できるだけ」を意識して起こってみると良いと思います。私自身も、過去にメンタルダウンを経験した時、最初は家から一歩も出たくなく、まずはきちんと睡眠も含めて休息を優先しました。そして少しずつ外に出る余裕が出てきたとき、まずは短時間の朝散歩から運動を始めました。そしてダウンしたメンタルを完全に回復することにつながりました。まずは「できる範囲で、できるだけ」やってみて、少し余裕が出てきたら少し難しいものに挑戦する、ということは運動以外でも共通して重要なことだと思います。

運動がメンタル改善に有効な理由と秘訣

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